2014-02-15

ガベージウォーカー。
というタイトルで昔、小説を書こうとした。
なんでそんなことを思い出したかというと、最近またS.T.A.L.K.E.R.のプレイ環境を整えたため。
ZONEはいい。うかつに散歩に出ると、謎のマキシマム重力で引き裂かれるあの空気。
ピストル1挺で挑む、最初のミッションの心もとなさ。
その後はじまる、独自の生態系の発生した空間での擬似生活と旅……。豊富なMODがそれを助長する。

タルコフスキーの映画を見たことがあるだろうか。『惑星ソラリス』以外で。
あの退屈極まりない、試験前の学生でなくとも、あるいは晩秋を感じた野の獣でなくとも、あなたを眠りの世界にいざなう映画。
よくもまあ、と感嘆を禁じ得ない。あの不思議な映画を、ゲームとしてきちんと(バグの問題は別にして)遊べるものに仕立てたのだから。
ただ、ストーリーはちょっと馬鹿馬鹿しい所が目につくものの、設定やその肉付けは見事なものだと思う。
ZONEの魅力はなんだろう。
まずは環境。原発事故で人の住めなくなった土地に再び起きた爆発。それによって変わった生態系と、新たな希少鉱物、アーティファクト。
アーティファクトを求めてやってきた人がいる、それがストーカーだ。そうしてストーカーたちが集まると、外の世界同様の社会のようなものが構築され、各派閥は利害関係を生み出し、間には様々な品物と情報を扱う商人がいる、という具合だ。
昔ながらのロールプレイングゲームのように、主人公は頼りない武器と裸にボロ衣を身につけて未知の世界に放り出される。
そこで様々なモノを目の当たりにしていくわけだが、特に惹きつけられるものは、自然物の中にあって朽ちていく、建造物……つまり、廃墟にあると強く思う。
廃墟、打ち捨てられた建物の中には、雨露をしのぐために怪物やならず者が跋扈している。それだけではない、先人の隠し残したアイテムや何らかの要因で発生した希少鉱物も存在する。
すなわち、本来存在価値のない空間で、自分だけが持っている宝の地図を用いて宝探しをしているようなものだ。
プレイを進めていくと、それがマップの各所に配置された廃墟だけにとどまらず、ZONEという空間全体がそのような構造になっているのだと知る。
そして耳にするうわさ話。
ZONEの中心……今や世界で最も巨大な廃墟と化した、石棺に被われたチェルノブイリ原子力発電所に、人の願いを叶える巨大なアーティファクト、モノリスが存在するというのだ。
しかし、その道程は容易なものではなく、様々な障害がプレイヤーの行く手を遮る。いいや、プレイヤーにとどまらず、ZONEに生きとし生けるストーカーたち全員が同じような舞台に立っている。
原発の周囲やそこに至る道程は、モノリスを信奉する狂信者たちによって厳重に守られ、招かれざる客を銃弾でもてなす。
それ以外にも、どうやら狂信者たちと無関係ではない、人の精神に作用して悪影響を及ぼす、特殊な放射線を発するアンテナ群。
謎と謎を繋ぐ糸をたどり、紡いでいくうちに人は信じてしまう。
モノリスの実在を。そして、おそらくは願いを叶えてくれるという、例の噂を。

ところが、案の定、主人公の願いは裏切られる。
それも馬鹿馬鹿しい話で。このあたりの竜頭蛇尾というしかないストーリーを除けば、S.T.A.L.K.E.R.というゲームはFPSの歴史の中で佳作に推挙されるべきと思う。
単純に、RPGの雰囲気とFPSというゲーム性を融合させた作品としても。
個人的には、あのZONEという舞台にこそ惜しみない賛辞を贈りたい。
ただ、タルコフスキーの映画やストルガツキーの小説ほどでなくとも、もう少し練り込むことができるのではと思ったのが、正直な感想。
ないなら自分でやればいい。
そう思って、自分にしては珍しくタイトルを先行して決めたのが、ガベージウォーカーというわけだ。
小説に映画にゲームにと、色々と既に存在しているので、自分が新規に何か作るというのも難しいのだが……。
ただ、例のモノリスとアーティファクトとストーカー、そしてZONEの関係をもう少し巧妙にストーリーとして作れなかったものだろうか。

例えば、主人公は科学者でZONEを生み出してしまったモノリスと最初に接触し、アーティファクトを生み出すことに貢献したのだが、何か危険なモノが同時に発生することが判明したため、ZONEの消滅をモノリスに願う……だが彼の願いは、望んだ形で実現はされず、彼は記憶を失ってしまうというような感じで。

3作めまで作られたこのS.T.A.L.K.E.R.だが、4作めはいっこうに話を聞かない。ネタ切れなら、ここにひとつプロットが……。
主人公が科学者というFPSは、きっとブラックメサの力で世界中で売れると思う。
そうなると必然的に、拳銃ですら役立たずのZONEでカナテコを持って旅するわけだが。

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