「TROPICO」に見る “目標設定と選択肢”

前回予告した「TROPICO」のお話。
このゲームはシムシティの様な都市開発ゲームで、南国の島の大統領となって島を統治する事になる。
前回の「One Way Heroics」で “制限の中で行う状況判断の面白さ” を話題にしたけれど、この「TROPICO」も都市開発系ゲームでありながら結構シビアな制限と状況判断を行う事になるんだよね。

まず「One Way Heroics」の様な “既存のシステムに加えられた制限” として、50年というプレイ期間が定められている。
50年に達した時点で取り敢えず “ゲームクリア” という形が取られるんだよね。
この時間制限はまさに「One Way Heroics」と同じ様な形でゲームの面白さに反映されていて、ダレないゲームプレイと期間内で最大限の成果を挙げる為の状況判断を行う楽しみが生まれている。
余談だけれどこの期間を超えてプレイする事も可能で、既存の都市開発SLGの様に延々島を開発するという遊び方も出来るよ。

同系統のゲームと大きく違う制限としては “無条件に大統領 (市長) を続けられるゲームではない” んだよね。
数年毎に選挙が行われるので、いわゆる “幸福度” 等を維持するなりして支持率を確保していないと失脚したりもする。
失脚したら即ゲームオーバー、だから如何に政権を維持するか、失脚しない様に立ち回るかを考える必要があるんだよね。

また、状況判断の面白さを高める要素として、人的リソースの管理と施策のタイムラグがある。

例えば建物と建てたい場所を指定したら即座にポンと出来上がる訳ではなく、建築事務所に勤める労働者がそこへ出向いて少しずつ建設していく。
また前述の建築事務所等、各施設に勤める住人がいなければその施設は機能しない為、人の過不足に応じて賃金を上げたり下げたりし労働者をコントロールする必要があったりする。

「TROPICO」ではシムシティ等と違い、税収ではなく輸出や観光で収入を得て島を発展させていくんだけれど、”いつでも” 売上が上がる訳ではなく、船が島にやってくる事で初めて輸出出来たり観光客が来て収入に繋がる。

木材や農作物の加工施設なんかは、建てる迄に時間が掛かり、建った後も加工品が出来る迄に時間が掛かり、更に港に運び込んで輸出する迄に時間が掛かったりする。
しかもその間、加工施設に回される分の資源の輸出が減るので収入が減る事になったりもする。
観光客も、単に訪れただけでは収入にならず、宿泊施設に泊まったりレストランで食事をしたり、お土産物屋に寄ったり娯楽施設に行ったり、そういった行動を取って初めて収入源として機能するんだよね。

こんな風に、何をするにしても決定から実際に回り始める迄の間にタイムラグがあるので、施策を行うタイミングは非常に重要。
今この施設を建てる事で将来的に豊かになる見込みなんだけれど、回り始める迄の間に一時的な赤字が予想される、となると来年の選挙が厳しい…けど選挙が終わるのを待つ事での期間ロスも勿体ない…みたいな葛藤が生まれるのです。

これだけだと制限の多い “マゾいシムシティ” の様な印象を受けるかも知れないけれど、「TROPICO」においては全然マゾくない。
何故なら既存の都市開発SLGにおける基本的な目標は “都市を発展させる” 事にあるけれど、「TROPICO」は “ハイスコアを目指す” ゲームとして作られているんだよね。
最大50年の任期内でどれだけスコアを稼げるか、で試行錯誤するのがこのゲームの醍醐味。

ここで、前回の予告時に挙げた “選択肢”。
「TROPICO」では課せられた目標と制限に見合った様々な選択肢を用意する事で、状況判断のバリエーションを増やしているんだよね。

例えば、選挙時に対抗候補を暗殺したり、そもそも支持率の低い住民を弾圧する事で自分の支持率を維持したりも出来てしまう。
目標が “期間内でのハイスコアを目指す” 事であって、”政権を維持する” 事や “島を発展させる事” ではないので、政権維持のシビアな曲面では選挙を取り止め、それによって暴動やクーデターが起こり大統領の座から引きずり降ろされるまでの期間、延々スイス銀行の隠し口座に掻き集めた現金を送り続ける事でハイスコアを目指そうとする事も可能なんだよね。
勿論普通の都市開発SLGの様に住民の幸福度を維持する事で政権を維持しハイスコアを納める事だって出来る。
50年の任期とプレイ期間が定められている事で、試行錯誤による上達が味わえるし、様々なプレイスタイルを試す切っ掛けも得られる。
今までの都市開発SLGに無かった制限と目標、そして選択肢が加わる事で、物凄くゲーム性を高めているのが「TROPICO」なんだよね。

最後に、単にゲーム性だけのものではなく、ゲームの “雰囲気” も非常に素晴らしい作品である事も蛇足として。
サルサをBGMに、のどかな南国景色の中をちょこちょこと歩く素朴な住民の姿に和んでいたら容赦なく大統領の座を引きずり降ろされるどころかクーデターまで起こしやがる毒っぽさ。
更にZOOから販売された日本語版では秘書官の声を当てている方の声や語り口が、この皮肉な雰囲気に非常にマッチしていて没入間を高めてくれるんですよ本当。

Best Selection of GAMES トロピコ 日本語版 日本公式サイト – 製品紹介

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もうこの日本語版は手に入らないかもしれないけれど、純粋にゲームとしても質の高いものなので、機会があれば是非どうぞ。

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