2016-11-07

急に寒くなった気がする

この頃、毎年この時期に思うんだけど
秋が短くなっているような……
単に年をとって、時が加速しているだけとも思えないような

そういえば年をとると好みのモノが変わってくる
特に顕著なのが食べ物で、鮭茶漬けより、野沢菜で麦飯の方が旨く感じたり
夏に食べる、ほうじ茶の梅茶漬けなんかもなかなかに乙
鯛の昆布締めに出汁をかけた、甲というべきお茶漬けももちろん美味しい
甲乙両方楽しめるようになるのが、年をとることなのだろうか

お茶漬けで思い出したんだけど
昔、青年誌でやってた『味いちもんめ』という漫画が結構好きだった
落語の師匠が、弟子を連れて料亭に行くんだけど、師匠は豪華な食事をして、弟子には最後にお茶漬けだけ食べさせるの
師匠は自分が美味しそうに会席料理を食べて、その真似を弟子にさせたり「食いたかったら早く一人前になりな」と意地悪を言う
今の時代でやったら、ほとんど「いじめ」としか思えない厳しい修行を課すものだから、若い仲居さんたちは師匠の悪口をこぼしたり
客観的に見ると、目の前で師匠がお手本見せてくれるその場で自分の芸を見てくれるのは、いじめどころか、凄く丁寧な教え方だろうと思う
厳しいけど
厳しくない修行なんてないだろうし
ただ、もしも自分が弟子だったら、腹が減って腹が立って、師匠の気持ちがわからず、悪態をついてしまうかもしれない
実際、初めて読んだ十代の頃は「なんて意地悪な」と感じたりした
板場の中でも、落語ファンの元坊主の油場担当の爺さんが、最近の師匠の芸に感心しないと言ったり
名人らしさを出そうとして、無理して難しい大作ばかりを演目にしているという
で、ある時、師匠が目当ての「シマアジを食べられなくなるかもしれないから」と天ぷらか何かを残してしまう
その残った天ぷらは煮付けにして、弟子に土産に持たせるということは、全くない
ところでこの落語の師匠と料亭の板長は幼馴染だと、このエピソードで明かされる
料亭の板長は幼馴染の落語の師匠に、初心に帰ってもらうために一計を案じる
その晩、座敷で旬のシマアジを待っていた師匠の卓に運ばれたのは
真っ黒に焦げたシマアジだった
板長が、まだ見習いの主人公に焼かせたものだ
何かの間違いだろうと、師匠は仲居さんに厨房の板長に聞きに行くよう命じるのだが
しばらく焦げたシマアジと向き合った師匠は、やがて子供の頃に食べた焦げた焼き魚のことを思い出す
仲居さんが戻って来る頃、師匠は焦げたシマアジを静かに食べていた
その後、師匠は肩の力を抜いて名人らしさを取り戻す

この話の良いところは、師匠と幼馴染の板長が直接会って話したりとかしないところ
皿に出した料理を通して、自分の胸の内を相手に悟ってもらうって、これ以上ない名人芸を見せてくれる

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