2014-03-05 ― SWAT 4

「心配するな、俺は後から突入するから」そう言って俺は部下にフラッシュバンの用意と突入を命じた
勢いよくドアが開かれ、前衛のレッドチームがライト付きのMP5を構えて、フラッシュバンを放り込んで突入していく
ブルーチームがそれに続いた
飛び交う怒号、犯人が手をかけた瞬間、レッドチーム――うちの署の最古参、20年間「来週にはチームを引退する」と言い続けてるレイノルズが撃った
床に人が倒れる振動がビブラムソールのブーツを伝わって足に届いた
病気の犬のようなうめき声がする
運の良い犯人だ、まだ生きてやがる
それとも悪いのか
決めるのは俺たちじゃなくて、頭がダイヤモンドで出来てる検事と、口のまわりに糞を塗りたくった弁護士野郎と、カツラを被った判事と良識ある陪審員の仕事だ
レイノルズの撃ったホローポイント弾は、正確に犯人の急所に3発命中したが、奴は防弾チョッキを着けていたようだ
阿呆の交渉係が余計な仕事をしたおかげで、俺たちの苦労は増える
それだけじゃなく、政府の税金で俺たちは鉛弾をばらまくんだが、つまり、弾代がかかる
ともあれ人質は無事保護した
犯人は射殺2、負傷1、逮捕3
一件落着
あとは現場検証に立ち会って、200年間ボスの小言を聞いて、5000枚ほど書類に署名して、チームの皆と一杯やって帰って、女房の機嫌をとって子どもたちにキスをして、犬に馬鹿にされてから寝るだけだ
明日は月曜日、また新しい一週間のはじまりだ
悪党どもは24時間営業、コンビニかよお前ら
奴らの何が気に入らないかって言うと、日曜の早朝に俺たちを呼び出すところだ
と思ったが、女房と子供を連れて教会に行くよりはマシだった
ありがとう悪党ども

地球上で2人か3人くらいしか存在を覚えていないゲーム、SWAT4の話をしよう

ゲーム内容のおさらい
今どきのFPSと違って、プレイヤーキャラクターは撃たれた後に5秒くらい物陰に隠れていれば、新しい顔を受け取った直後のアンパンマンみたいに走り回れない
オマケにミッションが始まると、回復アイテムも落ちていない
たとえ、病院が舞台だとしても……
足を撃たれると走れなくなり、腕を撃たれると狙いが定まらない
特に右手を撃たれた時の絶望感が半端じゃない
頭を撃たれたら死ぬが、身体だけは防弾チョッキのおかげで2~3発は大丈夫だ
ただし、ライフル弾を除く
ステージは全部で13
犯人と人質の位置は毎回ランダム(ある程度のパターンはあるが)
様々なSWATアイテムを駆使して、その都度隊員たちに適切な指示を下しながら、慎重に進んでいくのがこのゲームの特徴だ
もうひとつ
こちらの方が、多分もっと重要なことがある
それは、犯人を一方的に撃ってはいけない、ということ
厳密には撃てるが、クリア後に大きく減点される
犯人のAIは結構優秀で、素直に銃を捨てる者もいれば、捨てると見せかけて反撃してくる馬鹿も居る
中には人質に銃を向ける人でなしも
FPSなのに、悪者を見つけても撃てないという、一瞬の緊張感が生まれるのだ
他のゲームにはないこの感覚を、別のゲーム例えることはできないだろう

シナリオについて
特に言うことはない
というのも、事件ごとに(ほとんど)つながりがあるわけではなく、個別にステージは展開していくためだ
そのためか、例えば前のステージでプレイヤーが主犯を射殺した報復として、別の事件に連鎖していくというような、映画的なシナリオの面白さはない
まったくない
物足りないと思うかもしれないが、良いところもある
前のステージで部下が全員揃って重傷者になっても、次の事件ではムチを入れる前に現場復帰してくれるのだから
この点、昔のレインボーシックスでは苦労したところだった気がする
何度シャベスの戦死に泣いたことか
あまり茶化さず真面目に書いたほうがいいんだろうか……好きなゲームなんだし

リアリティ
雰囲気はとても良いと思う
実に「それっぽい」感じがするのではと今やっても思う
が、人質が(原則的に)一箇所に固まっていないのは駄目だろ
というか犯人の目の届かなないところにいるなら、自力で逃げろよと突っ込みたい
不必要に隊長が喋る
指示を出すとき、普通は声を出さずに手信号でやりとりするべき
特に、ステルスエントリー(犯人に気付かれないように忍び込む)時に、べらべら喋るのは不味いだろう

グラフィックについて
出来の悪い粘土細工の方がまだ人間らしさを見いだせるほど酷い
これについては目をつぶるより他はない
なので人質に対してもあまり同情したり、犯人に対しても憎悪する方向に、プレイヤーを誘導できないと思われる
そもそも古いゲームだというのを差し引いても、ちょっと人物やオブジェクトのグラフィックは稚拙じゃないかと思う
なんといっても、このゲームより先にHalf-Life2が出ているのだし
ある意味、SWATの隊員としては正しいかもしれないが、理屈でゲームの出来の悪い部分に納得できるほど、ユーザは物分かりがいいわけがない

キャラクターモデリングとか
グラフィックと関連して、キャラクターの動きもぎこちない点が多い
驚いた直後にドラゴンボールのZ戦士みたいな反射神経で駆け出すのはやめてくれ
間違えて撃ったことが何度もある
その辺はまだ我慢できるが、隊員たちが色々なポイントでスタックするのもいただけない
何度もプレイしていると、隊員がスタックしそうなマップの場所が経験的にわかるが、やっぱりゲームに集中できなくなるのはちょっとまずい
そしてSWAT隊員なのに、どうしてあんなにチンタラ動くんだ
年よりのレイノルズだけならまだしも、まだ20台半ばのフィールズまで、もたもたするのはなんなんだ
プレイヤーキャラクターもしかり
この辺りはSSFなりのMODで随分解決してくれるポイントなので、それほど気にしていないが、バニラではあまりやりたくない

正直な感想
色々、悪いところもあるが、SWAT4はそれでもやっぱり良いゲームだと思う
SWATという着眼点や、引き金を絞る一瞬の「間」にこそ、オリジナリティがある
それ以前の、突入の手順についてもプレイヤーの好みの戦術で何通りも選択肢がある
そしてその戦術を実現させるために、予め持ち込む武器やアイテムの選択も重要になってくる
高得点を目指すためには、非殺傷兵器の運用が欠かせない
が、全員が全員ともメインの銃をゴム弾ショットガンや唐辛子エアガンというのは、なんかダサい
それ以前にチームで動く意味がない
むしろSWATなのだから全員がメインをMP5などの銃を持っていくべきで、ゴム弾ショットガンなどはプレイヤーが状況に応じて運用すべきだろう
これで犯人を含めて、一人の死者も出さずにクリアしてこそ、真のSWAT
心にそう決めてはや5年
いまだに、9番目以降のステージで満点を出せずにいる自分がいる

正直にいう
縛りプレイにも限度があるし、SWATも万能じゃない
というより、ARMAじゃないが、後半のステージはどう考えても投入兵力が足りてない
それでも頑張るSWAT隊員たち
ヘボな隊長の下で「ボスどいて」以外の不平を漏らさず、よく指示に従ってくれる
古参のレイノルズ、お喋りなジラード、血気盛んな若造のフィールズ、セクシーボイスの黒人ジャクソン
お前らは最高だ
だけどスタックだけは勘弁な

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