「One Way Heroics」で考える “ゲームの面白さ”

和製ローグライク系ゲームの「One Way Heroics」(片道勇者)、その拡張版である「One Way Heroics Plus」(片道勇者プラス) がいつの間にかSteamでリリースされていた。
いわゆるローグライク系と呼ばれるジャンルで、身近なところでは「不思議のダンジョン」シリーズの様なゲームなんだけれど、一般的なローグライク系ゲームに巧ーく捻りが加えられていて、もの凄く面白いゲームに仕上がっているんだよね。

さぞかし凄いシステムのゲームなのかと思うかも知れないけれど、加えられている要素は極シンプル、”ゲームの進行が横スクロールである” というだけ。
冒頭で挙げた「不思議のダンジョン」シリーズでは階層型のステージ構造でゲームが進行するんだけれど、片道勇者ではターン毎に左から右へと画面がスクロールされていき、スクロールに飲み込まれない様に先に進んでボスを倒したらクリア、という進行の作りになっている。
何だそれ?と思われるかも知れないけれど、これが意外な程に面白い。
以下サイトから紹介文を引用。

この世界は『闇』に支配された世界で、『闇』は、ゲーム中、常に画面左側から世界を喰らい続けて行きます。(~略~)『闇』に飲まれればゲームオーバーとなりますので、引き返すことはできません。

(~略~)

  • 「ぎりぎり間に合うと思ってアイテムを拾いに行ったら、ちょうど画面端に飲み込まれた」
  • 「前から来た敵と長期戦を繰り広げていたら、敵と画面端に挟まれて逃げ場がなくなった」
  • 「買い物していたら街の入口がスクロールにのまれて出られなくなり、必死に壁の破壊を試みた」

など、スリルあふれる冒険が1ゲーム平均30分ほどで楽しめますので、ぜひこの一方通行の冒険に挑戦してみてください。

不思議のダンジョンシリーズって、意外とワンプレイが長くなりがちなんだ。
特に慣れてきて効率良く動けるようになると、強制的に次のフロアに飛ばされるなり満腹度が辛くなるなりのギリギリまで同じフロアに留まりレベル上げをしたりも出来てしまう。
そうするとキャラクターと装備性能によるゴリ押しでプレイする事も出来てしまい、全能感溢れるプレイは出来ても状況判断を楽しむプレイはし辛くなったりする。
それがこの片道勇者だと、強制横スクロールによる時間制限によって、その時々の状況判断がより重要になり、引用文の様なシチュエーションを生み出し、常にダレない引き締まったゲームプレイをする事が出来る、とても良く出来たゲームになっているんだよね。

特に時間制限に関して、単に残りターンがカウントされる様な時間制限ではなく「横スクロール」という視覚的に強く訴えかけてくるアイディアが秀逸。
画面は凄い地味なんだけれど、迫ってくる闇の視覚的なプレッシャーが巧く作用して、プレイしている時の心境としてはアクションゲームをやっている様な、ハリウッド映画を見ているときの様な感覚になるんだよね。
矢継ぎ早に訪れるピンチを、咄嗟の状況判断によって切り抜けていく様な気持ち良さ。
初めてプレイしたとき、本当巧いなぁ凄いなぁと軽く感動しました。

ちょっと話が変わるけれど、ゲームにおける根源的な面白さは「制限の中で行われる状況判断」にあると思ってるんです。
あるシチュエーションにおいて、自分が勝利する為の最善の手を考え実行する事が楽しいんだろうなぁ、という話だね。

例えば何も考えずに運任せでチェスをしても面白くない。
手持ちの駒と相手の駒、それぞれの駒の行動範囲と交互に1つだけ駒を動かす事が出来る、という制限を理解した上で、自分のキングを守り相手のキングを取る為の最善手を尽くしていくのが楽しいんですよね?
ほぼ運任せのトランプのばば抜きでさえ、相手がカードを引くときは自分お持ち札の並び順を変えたり、逆に自分が引くときは自分が相手の表情を伺う読む等して、少しでも相手の優位に立てるように工夫をする。
でも相手の手札を覗き見て好きなカードを選択できるとしたら、それは全く面白さを感じないはずです。

そんな訳で、何かしらの制限があって、その中で状況判断をし、最善手を選ぼうとする事こそがゲームの根源的な面白さである、と。

話は戻って、「片道勇者」は前述の事を前提に考えると、ローグライクという既存のジャンルのゲームに横スクロールという制限を足す事で、最善手を考える場面と機会を増やし、結果ゲームの面白さを濃いものにしているんだよね。
“状況判断” のシチュエーションを増やす事で難易度も上昇しているんだけれど、自分が行動して初めて時間が進むターン性のゲームなので、アクションゲームの様に操作の正確性を求められる様な運動神経・反射神経みたいなのは必要とされない。
なのでじっくり考える事が出来、失敗を経験として蓄積しやすいの。
だからちゃんと考えてプレイしやすい (脊椎反射のプレイにならない) し、そうする事で更に先に進める可能性が増える、つまり上達しやすいのも凄く良い。
上達する事で更にプレイに対する意欲が湧き、適度なプレイ時間と相まってリプレイ性がとても高いんだよね。

近年こんなに “ゲームそのもの” としての出来が良いものは珍しい。
元々がフリーソフトのゲームなので、「ゲームが好き」な人であるなら、一度はプレイしておいた方が良いゲームだと思います、オススメ。

片道勇者 公式ページ

片道勇者 公式ページ

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世界は、今まさに闇にのまれようとしていた。</p> <p>西より迫る、まるで壁のような暗黒の霧。<br /> それに飲み込まれた者は誰一人として帰って来ることはなく、<br /> 闇は今もあらゆるものを飲み込みながら、休みなく東へと進んでいた。</p> <p>この闇を生み出したのは、「魔王」と名乗る者であると言われている。<br /> しかし民はみな、逃れられぬ闇の前にあらがうことさえあきらめ、<br /> 誰も魔王に立ち向かおうとしなかった。</p> <p>そんな中、闇を止めるために一人の勇者が魔王討伐に志願した。<br /> それが『あなた』である。

この “制限と状況判断” に絡めて、「TROPICO」というゲームを紹介したいんだけれど、ちょっと長くなりすぎたなぁ。
このゲームもOne Way Heroicsと同様に “制限” を増やしているんだけれど、それと同時に “選択肢” も増やしているんだよね。
この選択肢もゲームを面白くする為にとても大事な要素の一つ。

という訳で次回は “ゲームの根源的な面白さとはなんぞや” という話に絡めつつ、「TROPICO」の面白さについての感想文を。

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