2016-05-07

『そして誰もいなくなった』は言わずと知れた、アガサ・クリスティの傑作推理小説といわれるが
自分は読んだことがないので、まったくよく知らない……
チャンドラーの評論でこき下ろされていたから「じゃあ読まなくていいや」と思った若かりし頃

その名作をモチーフに、シュワルツネッガーがハードコアなアクション映画に出ていると噂に聞いていた
サ ボ タ ー ジュ ←リンク先予告編
公開前は「あのシュワちゃん」が、リアル系のアクションをやるというので、一部で話題になったり
「あのシュワちゃん」が、筋肉に頼らない系の映画をやるという期待を得ていたように記憶している
実際に冒頭から前半はマジで面白く、真相を色々想像する余地があって楽しめる

悪の巣窟に手際よく突入していくシュワ率いるDEAのチーム、味方の後続を巧妙に足止めしながら、麻薬の利益を一部かすめ取る手口
そして盗んだはずの金がなくなり、その件でDEAから査問を受けたり、麻薬組織からも恨まれている中、仲間の一人が不審死を遂げる
DEAから謹慎を解かれたシュワたちは捜査を始めるが、一人また一人と仲間が死んでいく
そんな中、別の切り口から市警察の女刑事が事件の不審点を見つけて、シュワたちに接して真相に近づこうとする
一体誰が裏切り者なのか、あるいは全てはシュワたちを貶めるための、手の込んだ罠なのか

ココらへんから「ああ、DEAのダーティな部分とか人間のネガなところに、過去にフォーカスしながら見せてくれるのかな」と期待を膨らませる
が、急激にプロットはとっ散らかりはじめる

女刑事はやがて、シュワの血塗れの(奥さんと子供を麻薬組織に惨殺された)過去を突き止める
時を同じくして、シュワは誰が仲間を殺したのか気づきはじめる
仲間を殺していたのは、他ならぬ部下たち自身だった
しかもその動機が「誰が金をとったかわからないので殺した」というお粗末さ
部下を追い詰めたシュワは「俺がとった」と女刑事の前で告白して、部下に止めを刺して消える
姿を消したシュワはメキシコの所轄警察を買収して、麻薬組織の人間の居場所を聞き出す
単身、シュワは家族の復讐を果たしてメデタシメデタシ

たまには頭を使って映画を見るのもいいよね、と思っていたら、後半からのクライマックスの失速感……
あ、これアレと一緒だ
クリムゾン・リバー
犯人は死んだはずの人間→双子でした(でも特に意味はありません) ←ざけんな

いや、ほんとにアクションシーンは見事という他無い出来で
あの筋肉鎧のシュワルツネッガーが、アサルトライフルやショットガンを小枝のように軽やかに取り回す立ち回りは必見物
だけど肝心の映画の出来というか、ストーリーは、もうこれ酷いとかじゃなくて、可哀想になってくる
未確認の情報だけど、上映時間を短くするために、ストーリーを無理やりぶった切って、ラストシーンを無理やりくっつけたという
完全版とか再編集で元々のを見れたら、評価も変わりそうだけど

シュワルツネッガー映画の割に、公開後にまったく話題にならなかった理由はこれでよくわかった
しかし、年も歳だからシュワルツネッガーもすっかりロートル役がはまるようになってしまった印象
ハリウッドの悪ふざけでナンバリングを重ねている、エクスペンダブルズでは美味しい役で出ていたし、現代版西部劇という感じの「ラストスタンド」では生き生きしていただけに
今回のサボタージュでは消化不良というか生煮えの蕎麦を食べたような気分の悪さ

シュワルツネッガーという俳優のキャリアって、追っかけて行くと結構面白くて
最初は筋肉俳優として出て、コマンドーを期に「父親像」を印象づけてからは、幼稚園の先生になったり妊娠・出産したり、コメディもイケるのかと世間を驚かせたりと
かと思えば、20年経ってからの日本での謎のコマンドーブームが起きたり、他の映画も「真面目な映画だと思ったら、結局筋肉で解決してんじゃねえか」と突っ込まれたり

シュワルツネッガーが大好きな人がどんどん増えるのはいいんだけど「サボタージュ」はちょっと、ファンの人に勧めたいとは思えなかったのが残念だなあ

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