バイナリ畑でつかまえて
最近漫画欲が急激に上昇している事もあり、kindleのおすすめから面白そうな本を探しては読んでいる。
この『バイナリ畑でつかまえて』もその中の一つ。
ITに関係するネタを取り扱った1話完結のショートショートで、あっさりさっくり読ませつつも「あ、そういう事か!」と読み取らせる様な話が多くてとても味わい深かった。
という訳で例として第1話。
「バイナリ畑でつかまえて」第1話:高度に発達した技術は―― (1/2)
「アフタヌーン四季大賞」を受賞した新人作家による“ITっぽい”マンガ連載がスタート。第1話は「ホンモノがまざっていても気がつきませんよねー」というお話。
お わ か り い た だ け た だ ろ う か 。
最後のコマでガラス窓に彼女は映っていないので、そこに存在していない。
ホラーとして読むと彼女は幽霊か何かかな、と受け取れるし、サイコっぽく読むと脳内彼女と話してるのかな、とも受け取れるし。
積極的に “読もう” としないと、エッセイ未満の小話で終わってしまう様な話。
後は例えばこれ。
「バイナリ畑でつかまえて」第6話:2.4インチの形見 (1/2)
ドット感の郷愁、というお話。
これはストレートに「PCモニタで見る文字と(当時の)ガラケーで見た印象の違い」の話なんだけれど、ネームが巧い。
「最後に見た母もそうだった」という台詞、これは棺についているのぞき窓か、もしくは遺影を指しているのか。
この2例の共通項。
バックグラウンドを描かない分、いろんな読み取り方や発見があって面白い。
無駄がそぎ落とされていてコマやネーム一つ一つの意味を読み取る楽しさがある。
全体的に文学的というか何というか。
“読もう” とするとじわじわくる秀逸な小話ばかり。
ページ単位にレイアウトされたものではないけれど、上記ITmediaのサイトで読めるようなので是非。